?? 精神科デイケア ナース業務マニュアル(オリエンテーション用)
 
※このマニュアルは要点や項目のみを記載しています。具体例や詳細については直接口頭で説明します。
 
1. はじめに
デイケアの目的と施設の方針 :退院後の早期支援と地域生活へのスムーズな移行支援
ナースの役割と期待される専門性 :医療的視点からの支援、チーム連携、運営・管理への参画
地域との連携体制(訪問看護、グループホーム、家族支援)
 
2. 一日の流れと基本業務
■ 送迎対応
出発前の準備
送迎表の確認(当日の利用者、乗車順、特記事項)
体調不良やキャンセルの有無をスタッフ間で共有
送迎時の観察ポイント
表情・歩行・会話の様子(いつもと違う様子がないか)
家族やグループホーム職員からの申し送り内容
車内での安全確認(シートベルト、体調変化の有無)
■ 外来・新規インテーク時の健康チェック
対象者
新規利用者(初回面談・体験利用)
外来診察後にデイケアへ合流する利用者
チェック内容
バイタルサイン(血圧・脈拍・体温・SpO?など)
表情・言動・睡眠や食欲の状態
服薬状況の確認(内服の有無、副作用の有無)
医師への報告が必要な所見の有無
記録と共有
チェック内容は所定の記録用紙または電子カルテに記載
必要に応じて医師・他職種へ口頭で申し送り
出勤から退勤までのスケジュール(朝の健康チェック、昼食支援、プログラム観察、記録など)
利用者の送迎支援や受け入れ時の観察ポイント
プログラム中の役割(安全管理、体調変化の把握、参加促進)
 
3. 利用者対応の基本
統合失調症の方への関わり方(幻聴・妄想への対応、安心感の提供)
高齢者・認知症の方への配慮(見守り、転倒予防、認知機能の変化への対応)
行動化・不穏時の対応と予防的関わり
家族との関係づくりと情報共有の工夫
 
4. 医療的ケアと健康管理
服薬管理(内服確認、PRN薬の判断、服薬拒否時の対応)
健康観察(慢性疾患の管理、脱水・低栄養・感染症リスク)
医師との連携(診察補助、報告書作成)
感染対策(高齢者・免疫低下者への配慮)
 
5. 地域連携と退院後支援
訪問看護との情報共有と連携
グループホーム・地域包括支援センターとの連携
退院支援カンファレンスへの参加
地域資源の活用(通所・訪問・福祉サービス)
 
6. チーム連携と運営への関与
多職種カンファレンスでの報告・提案
プログラム運営への参画(健康教育、生活支援プログラムの企画など)
デイケアの安全管理(感染対策、緊急対応マニュアルの整備)
新人指導・後輩育成への関わり
 
7. 緊急時の対応マニュアル
急変時の対応(意識障害、転倒、発熱など)
救急搬送の判断と手順
インシデント・アクシデント報告の流れ
 
8. 自己ケアとチーム支援
感情労働への理解とセルフケア
チーム内での相談体制
定期的な振り返りと学びの機会
 
9. よくあるQ&A
「退院直後で不安定な利用者への対応は?」
「認知症の方が帰宅願望を訴えたら?」
「訪問看護とどう連携すればいい?」
 
??? 記録の書き方(実践編)
■ よくある場面別:記録の具体例(SOAP形式)
�@ 幻聴を訴える利用者
S:「また声が聞こえる。今日は怒ってるみたい」
O:表情はこわばり、周囲を警戒する様子あり。プログラム中も落ち着かず、頻繁に後方を振り返る。
A:幻聴による不安が強く、集中困難。興奮や行動化のリスクあり。
P:静かな場所で休息を促し、医師に報告。午後のプログラム参加は様子を見て判断。
 
�A 認知症の利用者が帰宅願望を訴える
S:「もう帰らないと、家でご飯作らなきゃ」
O:落ち着きなく立ち上がろうとする。職員の声かけに反応はあるが、繰り返し帰宅を訴える。
A:見当識障害による帰宅願望。転倒リスクあり。
P:安心できる声かけと環境調整を行い、座位保持を促す。家族に状況を報告予定。
 
�B プログラム中に体調不良を訴える
S:「ちょっと気分が悪い。めまいがする」
O:顔色不良、血圧98/60、脈拍88、SpO? 96%。座位保持可能。
A:軽度の起立性低血圧の可能性。脱水傾向も考慮。
P:水分摂取を促し、安静にて経過観察。必要時、医師へ報告。
 
? 記録の質を高めるコツ
 
ポイント
内容
具体性
「落ち着かない」→「椅子に5分以上座っていられず、室内を歩き回る」
 
時間軸
「10:30 プログラム中に離席」「11:00 医師へ報告」など、時系列で記録
 
主観と客観の区別
「不安そう」ではなく「手を握りしめ、声が震えていた」など観察に基づく記述
 
他職種との連携記録
「OTに状態を共有し、午後の活動内容を調整」など、連携の痕跡を残す
 
 
?? プログラム中のナースの役割(実践編)
■ プログラム中の“見えない仕事”
 
ナースの視点
具体的な行動
観察
利用者の座り方、表情、発言、離席の頻度、他者との関わり方をさりげなくチェック
予防
興奮しやすい利用者の近くに座る、転倒リスクのある方の動線を確保
介入
疲労や集中困難が見られたら、静かな場所で休憩を提案
支援
プログラム参加が難しい利用者に対して、個別の声かけや代替活動の提案
記録・共有
プログラム後のミーティングで、観察内容を簡潔に報告し、支援方針を調整
 
■ ナースが担えるプログラム支援の例
健康教育(例:服薬の大切さ、熱中症予防、感染対策)
軽運動(例:椅子ヨガ、ストレッチ、口腔体操)
季節の話題や生活リズムを整えるミニ講話
認知症予防の脳トレや回想法のサポート
 
以上 文責 堀木 2005.5