デイリーノートやプレゼンテーションの中で考察を加える場合には学際的根拠に基づいて考察を展開する必要があります。
学生の中には、自分の力でいろいろと考えを巡らしてみることが「考察」であると勘違いすることが多いようで、「私なりに一生懸命考えてみたんです。」「実習指導者の言うことはわかるのですが、私は〜と考えているんです。」といった言葉をよく耳にします。しかしそういう学生の多くが「想像」や「私見」で意見を述べていることがあります。
考察は、文献や論文から知見を拾い出し、学生が担当する症例との間で得られた情報と照らし合わせ、同様の事が言えるのかあるいは異なった結果を得たのかなどについて考えを巡らすことが必要です。これは学生がたてた仮説を根拠に基づいて検証してゆくプロセスそのものでもあります。
学生が「想像」や「私見」を展開してゆくことはセラピストとしてのセンスを磨いてゆくために大切なことと言えますが、「科学的表現方法としての考察」の仕方を学ぶこととは区別をしておくべきです。
具体的には、
情報収集→査定(評価)→「仮説生成→介入→反応(観察)→結果(測定)→考察」→新たな介入(プラン)といった流れを取りながら順序立てて実習課題を進めていきます。「 」内はデイリーノートの記載項目です。また、プレゼンではそこから導いた新たな介入についてまでを発表の範囲とします。「考察」は一連の流れの中でも学生が何をどのように捉えたり考えようとしているのかを表現するところです。考察が不十分だと、次に控えている仮説やプランも論拠のはっきりしない脆弱なものとなってしまうのです。
担当症例の全体像はケースレポートの中で表現し整理してゆけばよいので、毎日のデイリーノートやプレゼンを効果的に行うためには、あれこれ取り上げるのではなく、その日の学生のテーマにあわせて優先順位を付け1つの項目に絞ってゆくことが大切になります。
加世田病院での臨床実習では討論の機会として、実習が終わる5時以降に学生の希望によってプレゼンテーションの時間を持っています。プレゼンではOT室の職員がそれぞれの立場から意見を述べますから、得られた意見を参考に先に述べた実習課題の流れを修正したり補完していくことになります。
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